「アフリカの光」 神代組撮影部隊


知床放談




神代 辰巳  監督
萩原 健一 
俳優
長谷川和彦 
助監
姫田真佐久 
撮影



長谷川 座談会ですからていねい語で始めます(オホン)


萩原 (ヤジって)早く質問してくれよ。


神代 (同じく)テレるなゴジ!。


長谷川 ウヒヒ・・・・・・きもち悪りィなあ、昔ヘタな級長やってた頃思い出すよ。俺があとで加筆訂正するから、やばいことも喋って結構です。


萩原 やばいことなんてないよ。


長谷川 お前はないだろうけどさ。


神代 俺もないよ。


長谷川 例えばテメエっていってるとこをあなた≠ノとかあとで直せばいいわけであります。直したければだけど。では本題に入って神代監督、どうなりますかねえ、この映画は?


神代 (いとも簡単に)わかりませんねェ。


長谷川 題名なんていったっけ、このシャシン。


萩原 「アフリカの光」だよバカかお前!


長谷川 作品の狙いを聞いてくれっていってたな、どうです監督、「アフリカの光」の狙いは何ですか。


神代 狙いはありませんネ


萩原 (またヤジって)そんなものあるわけないだろう。


神代 これはいいシャシンになるんじゃないですか。まあ出来上ったら観て下さい。


萩原 (答えて)たのしみに観ますョ。


長谷川 明日東京へ帰るぞ!(笑い)これじゃ座談会にならないなあ。ショーケンお前何か喋れよ。「セックスは日常茶飯事ですか」「いけませんね」とか難かしいこと喋れよ。


神代 いま映画のテーマとか狙いとか一番難しいこと喋ってるじゃない。


(カメラマン姫田真佐久氏現われる)


長谷川 ああお父さんがきた。お父さんに喋ってもらおう。


姫田 なに?○○○○の話してるの?


神代 取材されてるんですよ。「アフリカの光」のテーマは何ですかって ― テーマは○○○○ですよね。


姫田 うん、そうだ。


長谷川 ダメだ、これは・・・・・・、××××にされちゃうよ印刷するときには。昼間やるべきだったかなあ シラフのときに(バーボンもうないの、の声)。お父さんこのシャシンやってて面白いですか。


姫田 おもしろいですねえ、たのしみですよ。だって虚心になるもの・・・・・・。


長谷川 ウンウン。監督も「アフリカの光」をこれからどう撮るか、これからの日本映画をどうするか―そういった前むきの姿勢で語って下さい。


神代 (またあっさりと)作品を観て下さい。(笑い)


長谷川 これで終わっちゃうんだよなあ。話が続くように何とかなりませんか、俺がからみゃあいいんだな(独り納得)


神代 ふつう映画を撮ってるとき、知ってるやつを前において作品のことなんか喋らないよなあ、みんなだって聞かないもの・・・・・・


長谷川 聞けないよ(笑い)それに面白いもンで、こういうもの(テープレコーダー)一台あると喋れないもんだなあ、白けるし。


神代 キカイがあったってなくたって喋ったことないだろうテメエの作品のテーマなんか、シナリオの悪口は言えないし・・・・・・俺黙ってるからショーケン喋ろよ。


姫田 神代監督、「アフリカの光」っていうのは一番やりたかった作品ですか(うまいよなやっぱりお父さん、質問はこうでなきゃインタビア交代、タッチ、と長谷川氏感嘆)ホントのはなし、聞かせてよ。


神代 いやそんなことはないですよ。やはりオリジナルでやりたいですね。


長谷川 だけどあんた最近原作ものわりとやってるじゃないですか。あれはらくしようと思ってやってるわけですか。


萩原 石川達三さんのでらくするのは無理でしょ(笑い)


神代 自分におつげがないものですからネ。やっぱり食うためにやってましてね。


長谷川 だんだん話がセイカクになってきたョ。


姫田 ショーケンでやろうとしたところに何かあるんじゃないですか。


神代 それは萩原健一さんは天才ですからね、天才的俳優ですから、いろいろ監督の心づもりはありますよ。


萩原 姫田さんはこの作品のどこに魅かれて参加したんですか。


姫田 僕はホンに惚れたし、ショーケンに惚れたし、監督に惚れてるからやってるだけで他に何にもないですよ。


長谷川 助監督には惚れてないですか。


姫田 助監督は帰れ!だ(笑い)。大声で叫んでるだけじゃないか。


長谷川 そんなことないでしょ。たまたま流氷もよんだし、天気も晴れたし、完璧なスケジュールですよ。


姫田 それは結果論でね(笑い)。


長谷川 明日も上々でアフリカの光≠ヘ撮れます(断言)


神代 大バンバン才だね。


長谷川 だけどそういう天気の状況だけでこのシャシンは良くなるのかと、そういった危惧はないのですか。


姫田 そういった危惧は全くありませんね。全てがうまくいくということは、つまり天気もうまくいき、芝居もうまくいくということは、シャシンを成功させるためのひとつの要素だからね。


長谷川 信じてるわけですね、監督さんを。


姫田 ああ僕は断固信じてますよ。


長谷川 萩原さんもやっぱり信じてますか。


萩原 まあ何とかかんとかね。僕の方は賭けてますよこのシャシン!


長谷川 「雨のアムステルダム」(客が)入ったらしいね。


萩原 まあ何とかかんとかね。


長谷川 神代さんの「櫛の火」も入ったらしいですね。


神代 いやあショーケンのお陰ですよ(東宝系同時上映)


萩原 何かだいぶ尺切られて短くなったらしいですね 「櫛の火」は。


神代 「雨の―」(二時間長尺物)と一緒ですからね。あたったから東宝映画がまた続けて撮れます。これもショーケンのお陰です。


長谷川 お父さんなんかは 「櫛の火」好きですか。


姫田 好きですねえ あれこそ○○○○映画です。


萩原 ジャネットのオッパイみてて楽しかったんじゃないの。


姫田 いやあ良かったねえあれは(笑い)


長谷川 こういう実感のあることばでずっと通して貰いたいと思います。「アフリカの光」の桃井かおりもよいですね。


萩原 かおりはいいね。今度は主演女優賞だね。


長谷川 「青春の蹉跌」でショーケンが男優賞とって、どうしてかおりがとらなかったの、いろいろ疑問に思うむきもあったと思うけど。


萩原 それはいろいろあったんじゃないの。この辺でひとつ賞やっとかないと俺が役者をぐうたれるとかさ。


姫田 正直いって今度は「青春の蹉跌」やってる時より気分がいいんだなあ。


萩原 確かにあの時よりずっと気分いい。


長谷川 そういう現場の気分の良さにかまかけてて、いい映画できるんですかね。


姫田 それはゴジ違うよ。むしろ現場のスタッフがそっぽ向いてていいシャシンはできないよ。


萩原 だけど家に籠ってホン書いてる人もいるわけだからね。


姫田 もちろん現場の気分だけが映画じゃないというのはあるけど、楽しくやれなかった映画でいいシャシン撮れたというのは俺の経験では皆無だ。


長谷川 ところで神代辰巳は数撮りすぎで、ちょっとまいっているんじゃあ・・・・・・


姫田 わりとひょろひょろしているのは頑張るよ。俺みたいにデブってるのはコロッとまいるけど。神さんやっぱりねばりがある。


萩原 この人なんか映画やってなきゃシロクロのクロやってる方が似合うもんね。もうあんた立たない?


神代 (ちょっと語気荒く)立つよ。○○○○の具合悪けりゃ全然ダメだけど。


長谷川 俺振られちゃったよ知床で。ストリップやってる女がいてわりといい感じだからいたそうと思って聞いてみたら「カンケイホテル」へ行こうというんだ。俺たち泊まっていた「××観光ホテル」というのが土地の人みんな「カンケイホテル」って呼んでるんだってさ。というのはあそこ、飲み屋の姐ちゃんたちが店閉めたら二百円払ってみんな風呂入りにくるんだ。それでスーと待ってる部屋へいくんだってよ。それだァてんで、マッチ箱に328号って書いて渡して別れたんだ。ところが別れたあと街の若い奴らにつかまって、五・六軒はしごしちゃったんだョ。奴ら漁師なんだけどバアにいい酒置いてんだよな、最近リザーブな。そいで急いで帰ってみると確かに誰か寝てんだ。よしって入っていってみると岡田(裕)なんだよ(大笑い)。それでも彼女があとでやって来たとき寝てちゃ悪いと思ってズーッと起きてたけど、来なかった。宿立つ前の日に電話するとさ「今度いらした時もまたよろしくね」だってさ。


萩原 結局やらずじまい。


長谷川 そう。


萩原 羅臼はよくないよ、やらせないっていうしさ。


姫田 そんなことないだろ。二十年前来た時はちゃんとして帰ったもの。


長谷川 二十年経っているんだよ、あんた・・・・・・だけどショーケン、お前なんか大分不自由しただろ、遊びたいさかりにGSでさ、だいたい年が上の順から好き放題やってるな、お前より俺の方がいい目に合ってるもンな。


姫田 人間衰弱しちゃってどうしようもないって気がするよ。


長谷川 沖縄のときはよかったなあ。十六歳の女の子が那覇までついてきてくれて、別れ際手を振ってくれてね。


萩原 そういうロマンがないよなこの街は。


姫田 ひとつロマンがないといいシャシンは撮れないか。


神代 おい、女探しに行こうや!


(四月十日夜  羅臼にて)



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